
「外国人スタッフを採用したいが、特定技能1号と2号の違いがよく分からない」「宿泊業で使える在留資格の条件を整理したい」――そんな悩みを抱える宿泊施設の経営者や人事担当者は少なくありません。人手不足が深刻化するホテル・旅館業界において、特定技能制度は即戦力の外国人材を確保する有力な手段です。しかし、制度改正が相次ぎ、2025年10月には在留期間のルール変更まで行われたため、最新情報を正確に把握しておかなければ、採用計画そのものが狂いかねません。
この記事では、特定技能1号と2号の違いを7つの観点から徹底比較し、宿泊業に特化した在留条件・試験情報・受入れ手続きまでを網羅的に解説します。2026年度の最新データと制度改正を踏まえた内容ですので、これから外国人採用を検討される方はぜひ最後までお読みください。
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特定技能制度の全体像――なぜ今「宿泊業」で注目されるのか
特定技能制度は、深刻化する人手不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格制度です。一定の専門性・技能を持つ外国人材を、即戦力として日本の産業現場に受け入れることを目的としています。制度開始から約6年が経過した2025年6月末時点で、特定技能の在留外国人数は33万6,196人に達し、前年同期比で約8万4,000人(+33.5%)増加しました(出入国在留管理庁、2025年6月末速報値)。
とりわけ宿泊業は、訪日外国人旅行客の回復と国内旅行需要の高まりを背景に、人材ニーズが急拡大しています。政府は2024年3月29日の閣議決定で、2024年度から2029年度までの5年間における宿泊分野の受入れ見込数を2万3,000人に設定しました(全分野合計は82万人)。旧来の上限(2019年度からの5年間で2万2,000人)からさらに引き上げられており、国としても宿泊業への外国人材供給を強化する方針が見て取れます。
宿泊分野の在留外国人数の現状
ただし、2024年末時点で宿泊分野の特定技能1号在留外国人数は671人にとどまっており、受入れ見込数2万3,000人に対してはまだまだ余裕があります。言い換えれば、宿泊業における特定技能の活用はこれから本格化するフェーズにあり、今のうちに制度を正しく理解し、受入れ体制を整えておくことが競合施設に先んじるカギとなります。
特定技能1号と2号の違いを7つの観点で徹底比較
特定技能には「1号」と「2号」の2区分があり、求められる技能水準・在留期間・家族帯同の可否など、実務上の違いは多岐にわたります。以下の比較表で全体像をつかんだうえで、各項目を詳しく見ていきましょう。
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験 | 熟練した技能 |
| 在留期間の上限 | 通算5年(条件付きで6年) | 上限なし(更新可能) |
| 家族帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可(配偶者・子) |
| 日本語要件 | JLPT N4以上または同等試験 | 試験による確認(日本語要件なし) |
| 支援計画 | 受入れ機関による支援義務あり | 支援義務なし |
| 永住権取得 | 1号のみでは困難 | 条件を満たせば申請可能 |
| 対象分野数 | 16分野 | 11分野(介護を除く) |
技能水準の違い――「即戦力」と「熟練者」の線引き
特定技能1号は「相当程度の知識または経験を必要とする技能」が求められます。分かりやすく言えば、入社後すぐに現場で一人前の仕事ができるレベルです。一方、特定技能2号は「熟練した技能」が要件であり、監督者や管理者として現場をリードできる水準が期待されます。宿泊業で言えば、1号はフロント業務や接客を自力でこなせる人材、2号はフロントチームの運営やサービス品質の改善提案まで担える人材というイメージです。
在留期間――「5年の壁」と2025年10月の改正
特定技能1号の通算在留期間は原則5年です。この「5年」は通算であり、途中で帰国した期間も含めてカウントされます。つまり、1年働いて一度帰国し、再来日した場合は残り4年分しか在留できません。
一方、特定技能2号には在留期間の上限がありません。1回の在留許可は1年・3年・5年のいずれかですが、何度でも更新が可能です。これは事実上、日本に無期限で滞在しながら働き続けられることを意味します。
さらに、2025年10月の制度改正(出入国在留管理庁、2025年9月30日施行)により、特定技能1号の「5年の壁」が部分的に緩和されました。具体的には以下の2点が変更されています。
- 妊娠・出産・育児・労災による休業期間の不算入:産前産後休業(産前6週間・産後8週間)、育児休業(子が1歳に達するまで。保育所に入所できない場合は最長2歳まで)、および病気・労災による休業期間は、通算在留期間に含まれなくなりました。
- 2号試験不合格者への6年特例:特定技能2号の評価試験に不合格となった1号外国人のうち、すべての試験で合格基準点の8割以上を取得しているなど一定の要件を満たす場合、通算在留期間が最大6年に延長されます。
この改正は、「あと少しで2号に届く」外国人材の離脱を防ぎ、宿泊業をはじめとする現場での人材定着を後押しする狙いがあります。
家族帯同と永住権――長期的な生活設計への影響
特定技能1号では、家族(配偶者・子)の帯同は原則として認められていません。単身で来日し、最大5年(条件付き6年)で帰国するという制度設計です。対して特定技能2号は、要件を満たせば配偶者と子を呼び寄せて日本で生活することが可能です。
また、永住権の取得についても大きな違いがあります。永住許可の要件の一つに「引き続き10年以上本邦に在留していること」がありますが、特定技能1号の上限5年だけではこの要件を満たせません。一方、特定技能2号は在留期間に上限がないため、継続的に在留することで永住権申請の道が開けます。外国人材にとって「日本で長く働きたい」「家族と暮らしたい」という希望をかなえられるかどうかは、モチベーションや定着率に直結する重要な要素です。
支援計画の有無――受入れ機関の実務負担
特定技能1号の外国人材を受け入れる場合、受入れ機関(雇用主)は「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、実施する義務があります。支援内容には、入国前の生活情報の提供、住居確保の支援、日本語学習の機会提供、相談・苦情への対応、転職支援などが含まれます。自社で対応が難しい場合は、登録支援機関に支援の全部または一部を委託することも可能です。
一方、特定技能2号にはこの支援義務がありません。2号は「熟練した技能」を持つ人材であり、日本での生活にもある程度慣れていることが前提とされているためです。受入れ機関にとっては、2号人材の採用は実務負担の軽減にもつながります。
宿泊分野で従事できる業務範囲
特定技能「宿泊」の在留資格で働く外国人材は、ホテル・旅館などの宿泊施設において幅広い業務に従事できます。「フロント対応しかできないのでは」と誤解される方もいますが、実際にはかなり多岐にわたります。
主たる業務(メイン業務)
- フロント業務:チェックイン・チェックアウトの手続き、宿泊予約の管理、周辺観光地の案内、館内施設の説明、ホテル発着ツアーの手配など
- 企画・広報業務:キャンペーンや特別プランの立案、館内案内チラシの作成、ホームページやSNSを通じた情報発信など
- 接客業務:館内案内、宿泊客からの問い合わせ対応、クレーム対応の初期対応など
- レストランサービス業務:注文への応対、配膳・片付け、料理の下ごしらえ・盛りつけなど
付随業務(サブ業務)
上記のメイン業務に加えて、以下のような付随業務にも従事できます。ただし、付随業務だけに専従させることはできず、あくまでメイン業務に付随する形で行う必要があります。
- 客室のベッドメイキング・清掃
- 館内レストランでの配膳・下膳
- 館内売店での販売業務
- 館内の備品管理・発注補助
このように、宿泊施設の運営に関わる幅広い業務をカバーできるため、人手不足に悩む施設にとっては非常に使い勝手の良い制度と言えます。
特定技能「宿泊」の取得要件と試験情報
特定技能の在留資格を取得するためには、所定の試験に合格する必要があります。1号と2号では試験内容と難易度が大きく異なりますので、それぞれ確認しておきましょう。
特定技能1号の取得要件
特定技能1号「宿泊」を取得するためには、以下の2つの試験に合格する必要があります。
- 宿泊分野特定技能1号評価試験:一般社団法人 宿泊業技能試験センターが実施。フロント業務、接客、レストランサービスなどに関する知識と技能を問う内容です。
- 日本語能力試験:JLPT(日本語能力試験)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格が求められます。N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルで、日常会話がある程度可能な水準です。
なお、技能実習2号を良好に修了した方は、試験が免除される場合があります。ただし、宿泊業の技能実習は現時点で設定されていないため、他分野の技能実習修了者が宿泊分野に移行する場合は、宿泊分野の技能試験に合格する必要があります(日本語試験は免除)。
特定技能2号の取得要件
特定技能2号「宿泊」を取得するためには、宿泊分野特定技能2号評価試験に合格する必要があります。この試験は学科試験(50問)と実技試験(20問)で構成されており、1号よりも格段に難易度が高くなっています。
合格率は時期や実施回によって変動しますが、おおむね30%前後とされており、「実務経験7年以上の人でも3割しか受からない」と言われるほどの難関です(宿泊業技能試験センター、2025年10〜11月実施分データ)。2号には日本語試験の要件はありませんが、実務で求められる日本語力は当然ながら1号よりも高い水準が期待されます。
試験スケジュールと受験方法
試験は国内外で定期的に実施されています。国内試験は年に複数回、海外試験はベトナム、フィリピン、インドネシアなどの主要送出し国で行われています。最新の試験スケジュールは、一般社団法人 宿泊業技能試験センターの公式サイトで随時更新されていますので、受験を検討している外国人材や受入れを予定している事業者は定期的に確認しておきましょう。
受入れ機関が知っておくべき手続きと義務
特定技能の外国人材を実際に受け入れるためには、試験合格だけでなく、受入れ機関側にも満たすべき要件と手続きがあります。事前に把握しておかないと、採用計画に遅れが生じる可能性があります。
宿泊分野特定技能協議会への加入
宿泊分野で特定技能外国人を受け入れる事業者は、観光庁が所管する「宿泊分野特定技能協議会」に加入することが義務付けられています。2024年6月15日以降は、在留資格の申請時点で協議会の構成員であることを証明する書類の提出が必要となりました。以前は「受入れから4か月以内」の加入でしたが、申請時に加入済みであることが求められるようになった点に注意が必要です。
加入手続きはe-Gov電子申請サイトからオンラインで行えます。申請から加入完了までには一定の審査期間がかかるため、外国人材の採用スケジュールから逆算して、早めに申請を済ませておくことをおすすめします。
登録支援機関の活用
特定技能1号の受入れでは、前述のとおり支援計画の策定・実施が義務です。自社で十分な支援体制を構築できない場合は、出入国在留管理庁に登録された「登録支援機関」に支援業務を委託できます。登録支援機関は、生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、定期面談の実施など、法律で定められた10項目の支援を代行してくれます。
委託費用は機関によって異なりますが、一般的に月額2万〜5万円程度が相場です。初めて外国人材を受け入れる施設にとっては、ノウハウを持つ登録支援機関を活用することでスムーズな立ち上げが期待できます。
その他の受入れ要件
受入れ機関には、以下のような要件も求められます。
- 外国人材と日本人と同等以上の報酬を支払うこと(同一労働同一賃金)
- 社会保険・労働保険に適切に加入していること
- 過去5年以内に出入国管理法令や労働関係法令に違反していないこと
- 外国人材が帰国旅費を負担できない場合、受入れ機関が負担すること
- 保証金の徴収や違約金契約を締結しないこと
これらの要件は、外国人材の権利を保護し、適正な雇用環境を確保するためのものです。要件を満たさない場合は受入れが認められないだけでなく、既に受け入れている外国人材の在留資格更新にも影響が及ぶ可能性があります。
2号への拡大と最新の制度改正動向
特定技能2号は制度創設時、建設と造船・舶用工業の2分野に限定されていました。しかし、2023年6月9日の閣議決定により、宿泊分野を含む9分野が追加され、2023年8月31日に施行されました。これにより、宿泊業で働く外国人材にも「上限なしの在留」と「家族帯同」の道が開かれたのです。
宿泊分野の2号はまだ黎明期
制度上は2号への道が開かれたものの、実態としてはまだ黎明期と言わざるを得ません。2024年度末時点で、宿泊分野の特定技能2号在留者はわずか4人です(出入国在留管理庁データ)。これは試験の難易度が高いこと、そもそも1号在留者がまだ671人と少ないこと、制度開始から日が浅いことなどが理由として考えられます。
しかし、今後は1号で入国した外国人材が経験を積み、2号にステップアップするケースが徐々に増えていくと見込まれています。受入れ機関としては、優秀な人材の長期雇用を実現するために、1号から2号への移行を見据えたキャリア支援体制を今のうちから整えておくことが重要です。
2024年・2025年の主な制度改正
特定技能制度はここ数年で立て続けに改正が行われています。宿泊業に関連する主な動きを時系列で整理します。
| 時期 | 改正内容 |
|---|---|
| 2023年6月 | 特定技能2号の対象分野が拡大。宿泊分野を含む9分野が追加(閣議決定) |
| 2023年8月 | 上記の拡大が施行。宿泊分野での2号試験が開始 |
| 2024年3月 | 受入れ見込数の再設定(2024〜2029年度)。宿泊分野は2万3,000人。新たに自動車運送業・鉄道・林業・木材産業の4分野が1号に追加 |
| 2024年6月 | 宿泊分野特定技能協議会への加入が在留申請時に必須化 |
| 2025年3月 | 介護・工業製品製造業・外食業の3分野で運用方針変更(閣議決定) |
| 2025年10月 | 通算在留期間の見直し(妊娠・出産・育児休業の不算入、6年特例の導入) |
今後の展望――新分野追加の動き
さらに、今後は「物流倉庫の管理」「廃棄物処理」「リネン供給」の3業種について、特定技能制度への追加が検討されています。政府は2025年12月の閣議決定を目指すとしています(マイナビグローバル、2025年12月17日更新)。特にリネン供給は宿泊業と密接に関わる業種であり、追加されればホテル・旅館の運営全体の人材確保がさらに進む可能性があります。
宿泊業が特定技能を活用するメリットと注意点
ここまでの内容を踏まえ、宿泊業の事業者が特定技能制度を活用するメリットと、見落としがちな注意点を整理します。
メリット
- 即戦力の確保:試験に合格した人材であるため、入社後すぐに現場業務を任せられます。技能実習のように数か月の研修期間を見込む必要がありません。
- 幅広い業務への配置:フロント、企画広報、接客、レストランサービスとメイン業務が4種あり、付随業務も含めると施設運営のかなりの部分をカバーできます。
- 長期雇用の可能性:2号に移行すれば在留期間の上限がなくなり、長期的な戦力として育成・活用が可能です。
- インバウンド対応力の強化:多言語対応ができる外国人スタッフの存在は、訪日外国人旅行客への接客品質向上に直結します。
注意点
- コストの見積もり:登録支援機関への委託費、協議会年会費、住居確保の費用、帰国旅費の負担など、給与以外のコストも発生します。採用前に総コストを試算しておきましょう。
- 転職の自由:特定技能は技能実習とは異なり、同一分野内であれば転職が認められています。待遇が悪ければ他施設に移られるリスクがあるため、適正な給与・労働環境の整備が不可欠です。
- 制度変更への対応:前述のとおり、特定技能制度は頻繁に改正が行われています。最新の運用要領を常にチェックし、必要に応じて社内体制をアップデートすることが求められます。
- 日本人スタッフとの連携:外国人材を受け入れる際は、既存の日本人スタッフへの事前説明や、コミュニケーション上のサポート体制の構築も忘れてはなりません。
1号から2号へのステップアップを支援する体制づくり
宿泊業で特定技能を最大限に活かすためには、1号で受け入れた外国人材を2号へとステップアップさせる長期視点が欠かせません。2号に移行できれば、在留期間の制限がなくなり、家族帯同も可能になるため、外国人材のモチベーションと定着率が大きく向上します。
受入れ機関が取り組むべきこと
まず、2号の評価試験に向けた学習機会の提供が重要です。試験は学科50問・実技20問で構成され、合格率は約30%と難関です。業務中に学ぶだけでは不十分なケースが多いため、試験対策の研修制度や、学習時間の確保に対する配慮が求められます。
次に、キャリアパスの明示です。「2号を取得したらどのようなポジション・待遇になるのか」を具体的に示すことで、外国人材の目標が明確になり、学習意欲の向上につながります。たとえば、フロントリーダーや宿泊部門のマネージャー候補といった具体的な役職名と処遇を提示すると効果的です。
そして、2025年10月の改正で導入された「6年特例」も活用のポイントです。2号試験に惜しくも不合格だった場合でも、合格基準点の8割以上を取得していれば、通算在留期間を6年に延長できます。この1年の猶予を活かして再挑戦を支援することが、人材流出の防止につながります。
まとめ――2026年度に向けて準備すべきこと
特定技能1号と2号の違いを改めて整理すると、1号は「即戦力としての5年間の就労」、2号は「熟練者としての無期限就労+家族帯同+永住への道」と言えます。宿泊業では2023年8月から2号の取得が可能になりましたが、実際の2号在留者はまだ4人と少なく、今後の拡大が見込まれる段階にあります。
2026年度に向けて、宿泊業の事業者が取り組むべきことは以下の3点です。
- 受入れ体制の整備:協議会への加入、支援計画の策定(または登録支援機関への委託)、社内の受入れマニュアルの作成を早めに進めましょう。
- 採用チャネルの確保:国内外の試験合格者へのアプローチ手段を検討し、人材紹介会社や送出し機関とのネットワークを構築しておきましょう。
- 長期育成の視点:1号から2号への移行を見据えた研修制度・キャリアパスの設計に着手しましょう。優秀な外国人材を長期的な戦力として定着させることが、人手不足の根本的な解決につながります。
制度は年々整備が進み、宿泊業で外国人材を活用するハードルは確実に下がってきています。最新の制度改正を正しく理解し、計画的に準備を進めることで、人手不足の解消と施設の競争力向上を両立させることができるでしょう。
よくある質問
- Q. 特定技能1号と2号は同時に申請できますか?
A. 同時申請はできません。まず1号を取得して日本で就労し、経験を積んだうえで2号の評価試験に合格する、というステップを踏む必要があります。ただし、建設分野など一部の分野では、海外から直接2号を申請できるケースもあります。宿泊分野では、まず1号で入国し、その後2号への移行を目指すのが一般的な流れです。 - Q. 特定技能「宿泊」で民泊施設やゲストハウスでも働けますか?
A. 特定技能「宿泊」で就労できるのは、旅館業法に基づく許可を受けた宿泊施設(ホテル・旅館・簡易宿所など)です。住宅宿泊事業法に基づく民泊施設は対象外です。ただし、簡易宿所の許可を取得したゲストハウスであれば対象となり得ます。 - Q. 技能実習から特定技能「宿泊」への移行は可能ですか?
A. 技能実習2号を良好に修了した方は、日本語試験が免除されます。ただし、宿泊分野の技能実習は現在設定されていないため、他分野(例:飲食料品製造)の技能実習修了者が宿泊分野に移行する場合は、宿泊分野の技能評価試験に合格する必要があります。 - Q. 特定技能2号を取得すれば永住権が自動的にもらえるのですか?
A. 自動的にはもらえません。永住権の取得には、「引き続き10年以上本邦に在留していること」「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」「素行が善良であること」などの複数の要件を満たす必要があります。特定技能2号は在留期間に上限がないため永住要件を満たしやすくなりますが、申請が必ず許可されるとは限りません。 - Q. 特定技能の外国人を雇用する場合、日本人と同じ給与水準にしなければならないのですか?
A. はい。特定技能外国人には「日本人と同等以上の報酬」を支払うことが法令で義務付けられています。これは単に最低賃金を上回ればよいという意味ではなく、同じ業務に従事する日本人スタッフと比較して同等以上の水準である必要があります。不当に低い賃金設定は、在留資格の許可・更新が認められない原因になります。 - Q. 特定技能1号の5年を満了した後、再度1号として来日することはできますか?
A. 通算5年の上限に達した場合、同じ1号として再来日することはできません。2号に移行するか、別の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)の要件を満たして申請するなどの方法を検討する必要があります。
初心者のための用語集
- 特定技能(とくていぎのう)
2019年4月に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定の産業分野において、一定の技能を持つ外国人材の就労を認める制度です。1号と2号の2区分があります。 - 在留資格(ざいりゅうしかく)
外国人が日本に滞在し、活動するために必要な法的な資格のことです。就労、留学、家族滞在など、目的に応じてさまざまな種類があり、特定技能もその一つです。 - 通算在留期間(つうさんざいりゅうきかん)
特定技能1号として日本に滞在した期間の合計のことです。途中で帰国した場合も、再来日後に通算されます。上限は原則5年(条件付きで6年)です。 - 登録支援機関(とうろくしえんきかん)
特定技能1号の外国人材に対する支援業務を、受入れ機関に代わって実施する機関です。出入国在留管理庁に登録された法人・個人が担当し、生活支援や相談対応などを行います。 - 受入れ見込数(うけいれみこみすう)
政府が分野ごとに設定する、5年間で受け入れる特定技能外国人の上限の目安となる人数です。宿泊分野では2024〜2029年度の5年間で2万3,000人に設定されています。 - 宿泊分野特定技能協議会(しゅくはくぶんやとくていぎのうきょうぎかい)
観光庁が所管する、宿泊分野の特定技能制度を適正に運用するための組織です。特定技能外国人を受け入れるすべての事業者に加入が義務付けられています。 - JLPT(日本語能力試験)
日本語を母語としない人を対象とした、日本語能力を測定する試験です。N1(最難関)からN5(最易)までの5段階があり、特定技能1号ではN4以上の合格が求められます。
参考サイト
- 特定技能在留外国人数の公表等|出入国在留管理庁
特定技能の在留外国人数に関する最新の統計データが公表されています。分野別・国籍別の詳細なデータを確認できます。 - 宿泊分野における外国人材受入れ(在留資格「特定技能」)|観光庁
宿泊分野に特化した特定技能制度の概要、協議会情報、運用方針などが掲載されている公式ページです。 - 一般社団法人 宿泊業技能試験センター
宿泊分野の特定技能評価試験を実施する機関の公式サイトです。試験スケジュール、過去問情報、合格発表などを確認できます。 - 特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について|出入国在留管理庁
2024年3月29日閣議決定に基づく、受入れ見込数の再設定と新分野追加に関する公式発表資料です。
免責事項
本記事は、「特定技能/外国人採用/人手不足対策」について一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、法的・税務的・労務的・入管手続き上の助言を行うものではありません。実務対応や最終判断は、必ず弁護士・社労士・行政書士・税理士等の専門家および所轄官庁(出入国在留管理庁、厚生労働省、各自治体)へご確認ください。
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- 費用・期間・KPI・効果(例:定着率・採用単価・即戦力化日数等)は一例であり、企業規模・業種・勤務地・募集条件・教育体制・個人属性等により大きく変動します。成果を保証するものではありません。
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