
2026年度、外国人雇用の現場は「育成就労制度」への移行準備と、既存 of the 「特定技能制度」の運用合理化という大きな二つの波の中にあります。特に2026年4月からは、企業側の事務負担を軽減する「定期届出の年1回化」がスタートし、運用ルールに一部変更が生じています。
特定技能外国人は、技能実習生とは異なり「転職(転籍)」が認められています。そのため、急な退職や転職の申し出に戸惑う企業も少なくありません。本記事では、2026年度の最新ルールに基づき、受入れ企業(特定技能所属機関)が退職・転職時に取るべき法的義務と、優秀な人材の流出を防ぐための対応策を徹底解説します。
Contents
1. 特定技能外国人が「退職」する際の手続き(旧所属機関)
特定技能外国人が自己都合、または会社都合で退職する場合、企業は以下の届出を「事由発生から14日以内」に出入国在留管理庁(入管)へ提出しなければなりません。これを怠ると、30万円以下の罰金や、今後の受入れが最長5年間停止されるリスクがあります。
1-1. 特定技能雇用契約の終了に係る届出
雇用契約が終了したことを報告する書類です。退職理由(自己都合、契約満了、解雇など)を正確に記載する必要があります。2026年現在はオンラインでの届出が推奨されており、窓口へ行く手間を省くことが可能です。
1-2. 受入れ困難に係る届出(※該当する場合のみ)
倒産や事業縮小など、企業側の都合で受入れが継続できなくなった場合に必要です。また、本人が行方不明になった場合(失踪)も、この「受入れ困難」として14日以内に届け出る必要があります。
1-3. ハローワークへの「外国人雇用状況届出」
日本人と同様、離職票の発行手続きと併せてハローワークへの届出が必要です。これは入管への届出とは別物ですので、忘れないように注意してください。
2. 特定技能外国人を「転職で受け入れる」際の手続き(新所属機関)
転職希望の特定技能外国人を受け入れる場合、単に契約を結ぶだけでは就労できません。新たな「在留許可申請」が必要です。
2-1. 在留資格変更許可申請(または期間更新申請)
転職先の企業と新しい雇用契約を結び、入管に「在留資格変更許可申請」を行います。許可が出るまでは、新しい会社で働かせることはできません。 許可前に就労させた場合、企業・外国人双方に不法就労の罰則が適用されます。
2-2. 支援計画の作成と事前ガイダンス
新しい受入れ企業は、改めて「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、本人に対して事前ガイダンスを実施しなければなりません。2026年からは、これらの説明をオンライン(ZoomやTeams等)で行う際の要件が緩和されていますが、重要事項の漏れがないよう注意が必要です。
3. 【2026年最新の変化】定期届出の「年1回化」と管理の注意点
2026年度から、特定技能制度の運用が大きく効率化されました。これまで「四半期に一度(年4回)」提出義務があった「受入れ状況報告」等の定期届出が、原則「年1回」へと変更されています。
3-1. 届出頻度の緩和によるメリット
企業の事務負担が大幅に軽減されました。しかし、頻度が減った分、「退職・転職時の随時届出」を忘れてしまうミスが増加すると予想されています。定期届出は年1回ですが、退職時の「契約終了届」はこれまで通り「14日以内」のままですので、混同しないようにしましょう。
3-2. 定期面談のオンライン化
1号特定技能外国人に対して3ヶ月に1回以上義務付けられている面談について、2026年の新基準では、一定の条件(初回は対面、録画保存など)を満たせばオンライン実施が正式に認められるようになりました。地方の現場や、支援を外部委託している企業にとっては大きな利便性向上です。
4. 2027年開始「育成就労制度」に向けた注意点
2026年度は、現行の技能実習制度に代わる「育成就労制度」の開始(2027年予定)を控えた移行期間です。育成就労制度では、一定の要件(1〜2年の就労、日本語能力、同一分野など)を満たせば「本人の意向による転籍」がより柔軟に認められるようになります。
この流れを受け、特定技能外国人についても「より良い条件(給与・住環境・キャリア)を求めて転職する」動きが活発化しています。企業には、単なる労働力としてではなく、「長期的に定着してもらうためのキャリアパス」を示すことが求められています。
5. 優秀な人材の「ジョブホッピング(転職)」を防ぐ3つの対応策
他社への流出を防ぎ、定着率を高めるために、2026年の企業が取り組むべき対策は以下の通りです。
5-1. 給与水準の「日本人同等以上」の厳守と可視化
特定技能の転職理由で最も多いのは「給与」です。2026年、最低賃金の大幅上昇や人手不足による賃金インフレが進む中、日本人の初任給と同等、あるいはそれ以上の待遇を維持しているかを定期的に見直しましょう。昇給制度を明確にし、本人の日本語能力向上に応じた手当を支給するなどの「頑張りが反映される仕組み」が必要です。
5-2. 「特定技能2号」へのキャリアパスを提示する
特定技能2号になれば、家族の帯同が可能になり、在留期間の更新制限もなくなります。2026年現在、多くの分野で2号の試験が実施されています。「この会社で頑張れば、家族を呼んで永住できる」という目標を持たせることが、最大の離職防止策になります。
5-3. 地域コミュニティや住環境への配慮
外国人にとって、生活のしやすさは職場環境と同じくらい重要です。2026年は円安や物価高の影響もあり、家賃負担の軽減や、Wi-Fi環境の整備された清潔な宿舎の提供が大きな差別化要因となります。
まとめ:2026年は「選ばれる企業」への脱皮が不可欠
特定技能外国人の転職・退職手続きは、2026年の制度改正により事務負担は一部軽減されましたが、法的義務(14日以内の届出)の重要性は変わりません。むしろ、2027年の「育成就労制度」開始を控え、外国人から「選ばれる」ための努力を怠る企業からは、人材が次々と流出していく厳しい時代に突入しています。
適正な手続きを遵守すると同時に、彼らのキャリアに真摯に向き合うことで、強固な組織づくりを目指しましょう。
よくある質問
- Q. 転職先が決まっていない状態で退職してもいいですか?
A. 退職自体は可能ですが、3ヶ月以上特定技能としての活動(求職活動を含む)を行っていない場合、在留資格が取り消される可能性があります。原則として転職先を決めてから退職することを推奨してください。 - Q. 届出を忘れて14日を過ぎてしまったら?
A. 速やかに「理由書」を添えて入管へ提出してください。放置するのが最も危険です。悪質な遅配・未提出でなければ、厳重注意で済むケースもありますが、繰り返すと受入れ停止等の処分対象となります。
免責事項
本記事は、外食・飲食、食品、製造業における「特定技能/外国人採用/人手不足対策」について一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、法的・税務的・労務的・入管手続き上の助言を行うものではありません。実務対応や最終判断は、必ず弁護士・社労士・行政書士・税理士等の専門家および所轄官庁(出入国在留管理庁、厚生労働省、各自治体)へご確認ください。
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- 費用・期間・KPI・効果(例:定着率・採用単価・即戦力化日数等)は一例であり、企業規模・業種・勤務地・募集条件・教育体制・個人属性等により大きく変動します。成果を保証するものではありません。
- 在留資格の許可・期間・更新可否は、最終的に所轄官庁の審査判断に委ねられます。日本語能力(例:JLPT N3 など)は業務適合性の目安であり、適職性・安全性・生産性を保証するものではありません。
- 補助金・助成金・支援制度は募集時期や要件が頻繁に変更され、自治体ごとに異なります。申請可否・給付可否は各窓口へ必ずご確認ください。
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