住居の確保はどうする?特定技能外国人の社宅・寮の手配と生活サポート実務【2026年度版】

「特定技能の外国人を採用したいけど、住む場所はどうすればいいの?」「社宅や寮を用意しないといけないの?費用は誰が負担するの?」――こうした疑問を抱える企業担当者は少なくありません。特定技能1号の外国人を雇用する場合、住居の確保に関する支援は法律上の義務であり、怠れば在留資格の取り消しや受入れ停止につながるリスクがあります。本記事では、2025年4月の制度改正や2027年施行予定の育成就労制度も踏まえた最新情報をもとに、住居確保の3つの方法、居室面積の基準、家賃負担のルール、賃貸契約の実務ノウハウ、そして入居後の生活サポートまで、現場で使える実務知識を網羅的に解説します。

Contents

そもそも特定技能外国人の住居支援はなぜ「義務」なのか

特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格です。特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、出入国在留管理庁が定める「1号特定技能外国人支援計画」に基づき、10項目の義務的支援を実施することが求められています。住居の確保に係る支援は、そのうちの重要な一項目です。

なぜ住居支援が義務化されているのかといえば、来日したばかりの外国人が自力で日本の賃貸市場にアクセスするのは極めて難しいからです。日本語能力の壁、連帯保証人の不在、不動産会社や大家による外国人への入居拒否といった構造的な問題が複合的に存在します。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査では、外国人入居者の約22%が「外国人であること」を理由に契約を断られた経験があると回答しています。こうした現実を放置すれば、せっかく採用した人材がホームレス状態に陥ったり、劣悪な住環境で心身の健康を害したりする事態になりかねません。

なお、特定技能2号の外国人については、支援計画の策定義務がないため住居支援も法的義務ではありません。ただし、人材定着の観点から自主的に住居サポートを行う企業は増えています。本記事では、義務的支援が必要な特定技能1号を中心に解説しますが、2号の外国人への支援にも応用できる内容を含んでいます。

住居確保の3つの方法とそれぞれのメリット・デメリット

出入国在留管理庁の運用要領では、受入企業が行う住居支援の方法として大きく3つのパターンが認められています。それぞれの特徴を正確に理解し、自社の状況に合った方法を選ぶことが、コスト管理と外国人材の満足度向上の両立につながります。

方法1:受入企業が自社の社宅・寮を提供する

自社で保有する社宅や寮に外国人を入居させる方法です。建設業や製造業、農業など、もともと従業員向けの住居施設を持っている企業にとっては、追加の初期投資が比較的少なく済む選択肢です。外国人にとっても、同僚と近い場所に住むことで通勤の負担が軽減され、困ったときに相談しやすい環境が生まれるというメリットがあります。

一方で、社宅・寮の維持管理コストや老朽化対応は企業側の継続的な負担となります。また、プライバシーの確保やルームシェアの組み合わせ(出身国・文化・宗教の違いへの配慮)など、きめ細かな運用設計が欠かせません。特に、イスラム圏出身者の礼拝スペースや食事の制約、生活リズムの違いなど、文化的背景への配慮が入居後のトラブル防止に直結します。

方法2:受入企業が賃貸物件を借り上げて提供する(法人契約)

企業名義で賃貸物件を契約し、外国人に住居として提供する方法です。自社で社宅を持っていない企業にとって、最も一般的な選択肢といえます。法人契約であれば個人の信用審査のハードルをクリアでき、外国人が直接契約するよりも物件の選択肢が広がります。

この方法では、敷金・礼金・保証料・仲介手数料といった初期費用は企業が負担しなければなりません。月々の家賃については、借上げに要する費用(管理費・共益費を含む)を入居人数で割った金額を上限として、外国人本人から徴収することが認められています。たとえば月額家賃12万円の物件に3名が入居する場合、1名あたりの徴収額は4万円が上限となります。この金額には敷金・礼金・保証料・仲介手数料を含めてはならないため、注意が必要です。

方法3:外国人本人が賃貸契約する際に支援を行う

外国人自身が借主となって賃貸契約を結ぶケースです。この場合、企業の義務は「不動産仲介事業者や賃貸物件の情報を提供する」「必要に応じて住居探しに同行する」「連帯保証人が必要な場合に企業が保証人となるか、保証会社を確保して緊急連絡先となる」といった支援を行うことです。

外国人本人が契約者になることで、自分のライフスタイルに合った物件を選べるという自由度がある反面、言語の壁や保証人問題で苦労することも多いのが実情です。企業としては、物件情報の提供だけでなく、不動産会社への同行や契約書類の翻訳サポートなど、実質的な伴走支援が求められます。なお、本人契約の場合、敷金・礼金などの初期費用を企業が負担する義務はありませんが、人材確保の競争力という観点から、初期費用の一部を補助する企業も増えています。

3つの方法の比較表

項目 自社社宅・寮の提供 法人契約で借上げ 本人契約を支援
初期費用の企業負担 建設・改修費用 敷金・礼金・保証料・仲介手数料 義務なし(任意で補助可)
月額費用の本人徴収 合理的な額を算出して徴収可 借上げ費用÷入居人数が上限 本人が全額負担
企業の管理負担 大(施設維持・修繕) 中(契約管理・更新手続き) 小(情報提供・同行支援)
外国人の自由度 低(選択肢が限定的) 中(企業が選定) 高(本人が選択)
入居審査のハードル なし 低い(法人信用で通りやすい) 高い(個人審査が必要)

絶対に押さえるべき居室面積の基準

どの方法で住居を確保するにしても、クリアしなければならないのが居室面積の基準です。この基準を満たしていない住居を提供した場合、支援計画の不備として行政指導の対象になり得ます。

原則:1人あたり7.5㎡以上

出入国在留管理庁の運用要領では、特定技能1号外国人の居室面積として「1人あたり7.5㎡以上」を確保することが求められています。これは約4.5畳に相当します。ルームシェアなど複数人が同一の居室で生活する場合は、居室全体の面積を入居人数で割った数値が7.5㎡以上であることが条件です。たとえば3名でルームシェアをするなら、居室面積は最低22.5㎡が必要になります。

ここで注意すべき点は、「居室面積」とはキッチン、浴室、トイレ、玄関、廊下などの共用部分を除いた「寝室として使用する部屋の面積」を指すということです。リビング兼寝室として使用する場合はその部屋の面積で計算しますが、ダイニングキッチンなどは含みません。

例外:技能実習からの移行者は4.5㎡以上

技能実習2号などから特定技能1号へ在留資格を変更した外国人が、変更前と同じ社宅等に引き続き居住することを希望する場合には、例外的に「1人あたり4.5㎡以上」の基準が適用されます。これは約2.7畳に相当し、技能実習生に求められていた寝室の基準と同じです。ただし、この例外はあくまで経過措置であり、新たに住居を手配する場合は原則の7.5㎡基準が適用される点を押さえておきましょう。

面積以外にチェックすべきポイント

運用要領では面積基準のほか、居室の設備についても一定の水準が求められています。具体的には、適切な照明・換気設備があること、寝具が確保されていること、生活に必要な家具・家電(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)が利用可能であることなどです。社宅や寮で家具・家電を用意する場合、その費用を外国人から徴収する際は「合理的な額」にとどめ、利益を上乗せしてはならないことにも注意が必要です。

家賃の設定と費用負担のルール ― 「利益を得てはならない」原則

住居にまつわるトラブルで最も多いのが、家賃や初期費用に関する認識のずれです。出入国在留管理庁は、受入企業が外国人の住居支援を通じて「利益を得てはならない」という大原則を設けています。この原則を正しく理解し、透明性の高い費用設定を行うことが、外国人との信頼関係構築の第一歩です。

自社社宅・寮の場合の家賃計算

自社で保有する社宅・寮を提供する場合、外国人から徴収できる金額は「建設・改築等に要した費用、物件の耐用年数、入居する外国人の人数等を勘案して算出した合理的な額」とされています。たとえば、建設費用3,000万円、耐用年数30年の寮に常時10名が入居するなら、1人あたりの年間負担は10万円(月額約8,300円)が一つの目安となります。ただし、これはあくまで建物の減価償却費に基づく算出例であり、水光熱費や修繕積立金なども合理的な範囲で上乗せすることは認められています。

借上げ物件の場合の家賃上限

法人契約で賃貸物件を借り上げた場合の徴収上限は、前述のとおり「借上げに要する費用(家賃+管理費・共益費)÷入居人数」です。ここに敷金・礼金・保証料・仲介手数料を算入することはできません。また、企業が家賃の一部を福利厚生として補助している場合、実際に企業が支払っている家賃総額を入居人数で割った額ではなく、あくまで「借上げに要する費用」をベースに計算する必要があります。

給与天引きの注意点

家賃を給与から天引きする場合は、労働基準法第24条の「賃金全額払いの原則」に抵触しないよう、労使協定(いわゆる「24条協定」)を締結したうえで、外国人本人の書面による同意を得なければなりません。外国人は母国と比較して手取り賃金を重視する傾向が強いため、天引き額の内訳と計算根拠を母国語または「やさしい日本語」で丁寧に説明し、書面で確認することが、後のトラブル防止に極めて有効です。

賃貸契約の実務 ― 入居拒否への対処と保証問題の乗り越え方

法人契約であれ本人契約の支援であれ、実際に物件を探す段階では、外国人ならではのハードルに直面します。ここでは、現場の実務担当者が知っておくべきポイントを整理します。

入居拒否の実態と法的位置づけ

冒頭でも触れたとおり、外国人であることを理由とした入居拒否は依然として存在します。「外国人不可」と明示する物件は減少傾向にあるものの、実質的に外国人の入居を避ける大家や管理会社は少なくありません。法的には、合理的な理由なく外国籍であることのみを理由に入居を拒否することは、不当な差別にあたると判断された裁判例が複数あります。

ただし、企業の実務としては、入居拒否をした大家を訴えるよりも、外国人に理解のある不動産会社や物件を事前にリストアップしておくほうが現実的です。近年は外国人対応を専門とする不動産仲介業者や、多言語対応の賃貸ポータルサイトも増えており、これらを活用することで物件探しの効率を大幅に上げることができます。

保証人問題の解決策

日本の賃貸契約では連帯保証人を求められるケースがまだ多く、身寄りのない外国人にとって大きな壁となっています。この問題の解決策としては、主に以下の3つがあります。

第一に、企業が連帯保証人になる方法です。特定技能1号の住居支援では、企業自らが連帯保証人になることも選択肢として認められています。ただし、外国人が退去する際の原状回復費用や未払い家賃の負担リスクがあるため、社内規程で上限額や精算ルールを事前に定めておくことが重要です。

第二に、家賃保証会社を利用する方法です。近年は外国人に特化した家賃保証サービスを提供する保証会社が増加しています。保証料は月額家賃の0.5〜1か月分が目安で、初回のみ発生するケースと毎年更新料がかかるケースがあります。外国人対応の保証会社は多言語コールセンターを備えていることも多く、入居中のトラブル対応もあわせて期待できます。

第三に、自治体の支援制度を活用する方法です。一部の自治体では、外国人居住者向けの家賃保証制度や住居あっせん事業を実施しています。地域によって内容は異なりますが、制度の有無を確認しておくことは有益です。

契約時に用意すべき書類

法人契約の場合は、会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、決算書、会社概要パンフレット、入居者の在留カードのコピーなどが一般的に求められます。本人契約の場合は、在留カード、パスポート、就労先の雇用契約書または在職証明書、住民票などが必要です。いずれの場合も、事前に不動産会社に必要書類を確認しておくことで、契約手続きをスムーズに進められます。

入居後の生活オリエンテーション ― 8時間以上の実施が目安

住居の確保は「入居したら終わり」ではありません。特定技能1号の義務的支援には「生活オリエンテーションの実施」が含まれており、外国人が日本で安全・快適に暮らすための基礎知識を伝える機会を設けることが求められています。

生活オリエンテーションの基本ルール

出入国在留管理庁の運用要領では、生活オリエンテーションは「対象の特定技能外国人が十分に理解することができる言語」で実施しなければならないとされています。つまり、日本語が十分でない外国人に対しては、母国語または共通言語での実施が必要です。標準的な実施時間の目安は8時間以上で、すでに日本での生活経験がある外国人(技能実習からの移行者など)であっても最低4時間以上は実施する必要があります。

住居に関連するオリエンテーション内容

生活オリエンテーションでカバーすべき内容は多岐にわたりますが、住居に関連する項目としては以下が特に重要です。

まず、ゴミの分別・排出ルールです。日本のゴミ分別は世界でもトップクラスの細かさを誇り、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「資源ゴミ」「粗大ゴミ」などの区分や、排出する曜日・時間帯・場所が地域ごとに異なります。海外では「一般ゴミ」と「リサイクル」の2分類のみという国も多いため、丁寧な説明が欠かせません。自治体が作成する多言語版のゴミカレンダーやイラスト入りの分別ガイドを活用し、実物を見せながら説明するのが効果的です。

次に、騒音に関するマナーです。日本では、特に集合住宅において生活音への配慮が強く求められます。海外では自宅に友人を招いて賑やかに過ごすことが一般的な文化もあるため、「夜10時以降は大きな声や音楽を控える」「洗濯機の使用は早朝・深夜を避ける」といった具体的なルールを伝えることが重要です。単に「静かにしてください」と言うだけでなく、「なぜそのルールがあるのか」という背景まで説明すると、理解と協力を得やすくなります。

そのほかにも、近隣住民への挨拶の仕方、共用部分(廊下・階段・エントランス)の使い方、火災報知器や消火器の場所と使い方、緊急時の避難経路、水回りの使い方(排水溝に油や食べ物を流さない等)など、住まいに関するルールは網羅的に伝えるべきです。

多言語チェックリストの活用

オリエンテーションの内容を確実に伝えるためには、多言語で記載された「生活ルールチェックリスト」を作成し、一項目ずつ確認しながら説明するのが有効です。説明後に外国人本人の署名をもらっておくことで、「聞いていない」「知らなかった」というトラブルを防ぐことができます。チェックリストは紙だけでなく、スマートフォンで閲覧できるPDFや翻訳アプリを組み合わせると、入居後も繰り返し参照できて効果的です。

2025年4月の制度改正と2027年の育成就労制度 ― 押さえるべき変更点

特定技能制度は創設以来、運用実態を踏まえた見直しが繰り返されています。直近の重要な制度変更について、住居支援に関わるポイントを整理します。

2025年4月施行の改正ポイント

2025年4月1日に施行された「出入国管理及び難民認定法施行規則の一部を改正する省令」により、特定技能制度の届出に関する大きな変更がありました。従来、受入企業は四半期ごと(年4回)に定期届出を提出する必要がありましたが、改正後は年1回(毎年4月1日から5月31日までの報告期間)に変更されました。届出名称も「特定技能外国人の受入れ状況、活動状況及び支援実施状況に関する届出」に一本化されています。

届出頻度は減りましたが、届出内容が簡素化されたわけではありません。住居支援の実施状況についても引き続き報告が求められるため、日常的な記録管理は従来どおり丁寧に行う必要があります。

また、新たに「自治体連携の義務化」が導入されました。受入企業は、外国人が居住する(または就労する)市区町村から「協力確認書」を取得することが必要になっています。これは、地域の行政サービスや多文化共生施策と連動した支援体制を構築するための措置です。住居を手配する際には、入居先の自治体に外国人受入れの状況を説明し、利用可能な生活支援サービスの情報を事前に収集しておくことが推奨されます。

2027年施行予定の育成就労制度への影響

2027年4月には、現行の技能実習制度に代わる「育成就労制度」が施行される予定です。育成就労制度は、外国人材を「育成」しながら「就労」させることを目的とした新しい在留資格であり、最長3年の在留期間を経て特定技能1号への移行を目指す設計になっています。

育成就労制度においても、受入企業による住居の確保は重要な支援項目として位置づけられる見通しです。現行の技能実習制度では「1人あたり4.5㎡以上」が寝室の基準でしたが、育成就労制度では基準の見直しが検討されています。将来的に技能実習生から育成就労、そして特定技能へとキャリアパスが一本化されることで、住居の基準も統一される可能性があり、今から7.5㎡基準を前提とした住居確保を進めておくことが、長期的なリスク管理になります。

住居トラブルを防ぐための実務チェックリスト

住居にまつわるトラブルは、事前の準備と丁寧なコミュニケーションで大半を予防できます。ここでは、受入企業の担当者が入居前・入居時・入居後の各段階で確認すべきポイントをまとめます。

入居前のチェックポイント

物件を選定する段階では、まず居室面積が基準(1人あたり7.5㎡以上)を満たしているかを実測または間取り図で確認します。次に、最寄り駅やバス停から職場までの通勤経路と所要時間を調べ、無理のない範囲であるかを検証します。周辺にスーパーマーケットやコンビニエンスストア、病院、ATMなど日常生活に必要な施設があるかも重要な選定基準です。

また、近隣住民の理解を得るための配慮も忘れてはなりません。外国人が集合住宅に入居する場合、管理組合や近隣住民に対して事前に説明を行い、企業の連絡先を伝えておくことで、万が一トラブルが起きた際の初動対応がスムーズになります。

入居時のチェックポイント

入居日には、ライフラインの開通状況(電気・ガス・水道)を確認し、使い方を実演して見せることが大切です。特にガスの開栓はガス会社の立ち会いが必要なため、入居日に合わせてスケジュールを調整しておきましょう。家具・家電の使い方(特にエアコンのリモコン、洗濯機の操作パネル、IHコンロなど)についても、母国語の操作ガイドを用意するか、動画で説明すると理解が深まります。

住民登録(転入届)の手続きは、入居から14日以内に市区町村の役所で行う必要があります。届出を怠ると20万円以下の過料が科される可能性があるため、企業が同行して確実に手続きを完了させることが望ましいです。あわせて、国民健康保険への加入や銀行口座の開設なども同時期に行うと効率的です。

入居後のフォローアップ

入居後1か月以内を目安に、住居の状態や近隣との関係について外国人本人にヒアリングを行いましょう。設備の不具合、騒音トラブルの兆候、ゴミ出しルールの遵守状況などを早期に把握し、問題があれば速やかに対処します。

また、特定技能1号の義務的支援には「定期的な面談」が含まれており、支援責任者または支援担当者が3か月に1回以上の頻度で外国人と面談し、生活状況を確認することが求められています。住居に関する困りごとは、この定期面談の場で吸い上げることも可能です。面談では「住まいで困っていることはないか」「近所の人との関係はどうか」「設備で壊れているものはないか」など、具体的な質問を投げかけるようにしましょう。

コストを抑えるための助成金・補助金の活用

外国人の住居確保にかかる費用は、特に中小企業にとって大きな負担となり得ます。しかし、国や自治体が提供する助成金・補助金を上手に活用することで、コストの一部を軽減できる場合があります。

国の助成金制度

厚生労働省が所管する「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は、外国人の就労環境の改善に取り組む事業主に対して助成金を支給する制度です。就業規則の多言語化、苦情相談体制の整備、一時帰国のための休暇制度の導入など、要件を満たす取り組みを行った場合に、経費の一部(上限57万円〜72万円)が助成されます。住居支援そのものが直接の助成対象となるわけではありませんが、生活オリエンテーションの多言語化や相談体制の構築にかかる費用を助成で賄い、浮いた予算を住居支援に回すという戦略は有効です。

自治体独自の支援制度

各自治体では独自に外国人受入れに関する補助金制度を設けているケースがあります。たとえば、外国人労働者の採用活動費用の補助、研修費用の助成、住宅支援、日本語教育への補助など、地域ごとに多様な制度が存在します。自社の事業所がある自治体や、外国人の居住地となる自治体のウェブサイトを定期的に確認し、活用できる制度がないかチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

よくある質問

  • Q. 特定技能1号の外国人に住居を提供する義務は、企業と登録支援機関のどちらにありますか?
    A. 住居支援の義務は特定技能所属機関(受入企業)にあります。ただし、企業は登録支援機関に支援業務の全部または一部を委託することができ、実際の住居手配を登録支援機関に任せるケースは多く見られます。いずれの場合でも、最終的な責任は受入企業が負うことに変わりはありません。
  • Q. 外国人が退職した場合、企業が用意した住居はどうなりますか?
    A. 外国人が退職した場合でも、次の就職先が決まるまでの間や帰国の手続き期間中は、住居支援を継続する義務があります。具体的には、転職活動中の住居確保や帰国時の住居支援も義務的支援に含まれています。退去のタイミングや原状回復の費用負担については、入居時に書面で取り決めておくことが望ましいです。
  • Q. 居室面積の7.5㎡には、リビングやキッチンの面積も含まれますか?
    A. いいえ、含まれません。7.5㎡はあくまで「寝室として使用する居室」の面積です。キッチン、浴室、トイレ、廊下、玄関などの共用スペースは算入しません。ワンルームの場合は、その部屋全体の面積(キッチンスペースを除く)が基準を満たしているかを確認してください。
  • Q. 技能実習生と特定技能外国人を同じ社宅に入居させることはできますか?
    A. 可能です。ただし、それぞれの在留資格に応じた居室面積の基準を満たす必要があります。技能実習生は1人あたり4.5㎡以上、特定技能1号外国人は原則1人あたり7.5㎡以上が必要です。同じ部屋をシェアさせる場合は、全員分の基準のうち厳しいほう(7.5㎡)で計算するのが安全です。
  • Q. 家賃を外国人の給与から天引きしてもよいですか?
    A. 可能ですが、労働基準法第24条に基づき、賃金控除に関する労使協定を締結し、外国人本人の書面による同意を得ることが必要です。天引き額の内訳と計算根拠を外国人が理解できる言語で明示し、不当に高い金額を徴収しないよう注意してください。
  • Q. 住居支援にかかった費用を外国人本人に請求できますか?
    A. 義務的支援の実施にかかる費用は受入企業が負担するのが原則です。住居の手配に要した人件費や交通費などの間接コストを外国人に請求することはできません。ただし、家賃そのものについては、前述のルールに従い本人から徴収することが認められています。
  • Q. 特定技能2号の外国人にも住居支援は必要ですか?
    A. 特定技能2号には支援計画の策定義務がないため、法的には住居支援の義務はありません。しかし、優秀な人材の定着を図るうえで住居サポートは有効な施策であり、福利厚生として家賃補助や社宅利用を提供する企業も増えています。

初心者のための用語集

  • 特定技能所属機関
    特定技能外国人を雇用する企業のことです。出入国在留管理庁に対し、支援計画の実施状況の届出や各種義務を負います。「受入企業」「受入機関」とも呼ばれます。
  • 登録支援機関
    特定技能1号外国人への支援業務を、受入企業に代わって実施することができる機関です。出入国在留管理庁への登録が必要で、支援の実施状況を定期的に届け出る義務があります。支援委託費の相場は月額2万〜4万円程度です。
  • 1号特定技能外国人支援計画
    特定技能1号の外国人を受け入れる際に、企業が作成・提出する支援内容の計画書です。住居確保、生活オリエンテーション、相談対応など10項目の義務的支援が含まれ、出入国在留管理庁の審査を受けます。
  • 義務的支援
    特定技能1号外国人に対して、受入企業が必ず実施しなければならない支援のことです。事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保支援、生活オリエンテーション、公的手続きの同行、日本語学習支援、相談・苦情対応、日本人との交流促進、転職支援、定期面談の10項目があります。
  • 育成就労制度
    2027年4月に施行予定の新しい在留資格制度で、現行の技能実習制度に代わるものです。外国人材の「育成」と「就労」を両立させることを目的とし、最長3年の在留期間を経て特定技能1号への移行を目指します。転籍(転職)の要件緩和なども盛り込まれています。
  • 協力確認書
    2025年4月の制度改正で新たに求められるようになった書類で、外国人が居住する(または就労する)市区町村から取得します。地域の行政サービスや多文化共生施策と連携した支援体制を構築するための措置です。
  • 家賃保証会社
    連帯保証人に代わって、入居者の家賃支払いを保証する会社のことです。外国人が賃貸契約を結ぶ際に連帯保証人を見つけられない場合の代替手段として利用されます。保証料は月額家賃の0.5〜1か月分程度が一般的です。

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