宿泊業の人手不足を解消するには?外国人人材の活用で現場を安定させる方法【2026年度版】

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宿泊業の人手不足を解消するには?外国人人材の活用で現場を安定させる方法【2026年度版】

「求人を出しても応募がゼロ」「繁忙期にスタッフが足りず、既存メンバーが疲弊している」――宿泊業の経営者なら、こうした悩みに心当たりがあるのではないでしょうか。放置すれば、サービス品質の低下→口コミ悪化→売上減少という負のスパイラルに陥りかねません。

本記事では、2026年度の最新データと制度改正を踏まえて、外国人人材を活用して現場を安定させるための具体的な手順・制度・定着施策を網羅的に解説します。「外国人雇用は難しそう」「コストが高いのでは」という不安をお持ちの方にこそ読んでいただきたい内容です。

宿泊業の人手不足はどこまで深刻なのか?最新データで現状を把握する

まずは、宿泊業がいま置かれている状況を数字で確認しておきましょう。「なんとなく人が足りない」という感覚ではなく、具体的な統計を知ることで、対策の優先度を正しく判断できるようになります。

有効求人倍率は全産業平均の2倍以上

厚生労働省「一般職業紹介状況」(2025年6月時点)によると、接客・給仕職の有効求人倍率は2.53倍です。全産業平均の1.22倍(2025年通年、日本経済新聞 2026年1月報道)と比べると、約2倍の差があります。つまり、1人の求職者に対して2.5件以上の求人が殺到している状態です。

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」(2025年1月)では、宿泊施設の60.2%が正社員不足、50%が非正社員不足と回答しています。半数以上の施設が常態的に人手が足りていないのが現実です。

離職率26.6%――採用しても辞めてしまう構造的問題

厚生労働省「令和5年雇用動向調査」によれば、宿泊業・飲食サービス業の離職率は26.6%で、全産業平均15.4%の約1.7倍です。採用してもすぐに辞めてしまうため、常に採用コストが発生し続ける悪循環に陥っています。

その背景には、構造的な労働条件の問題があります。以下の表をご覧ください。

指標 宿泊・飲食サービス業 全産業平均 出典
平均月収 25.9万円 31.8万円 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」
離職率 26.6% 15.4% 厚生労働省「令和5年雇用動向調査」
有給休暇取得日数 5.9日 11.0日 厚生労働省「令和6年就労条件総合調査」
有給休暇取得率 51.0% 65.3% 同上

月収は全産業平均より約6万円低く、有給休暇の取得日数はほぼ半分です。こうした条件では日本人の応募者が集まりにくいのも無理はありません。

インバウンド4,268万人時代――多言語対応の需要は過去最高

JNTO(日本政府観光局)の発表(2026年1月)によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万人で過去最高を更新しました。前年比で15.8%増、コロナ前の2019年と比べても約1,000万人以上増加しています。

さらに、観光庁の統計では訪日客の旅行消費額は約9.5兆円に達し、そのうちサービス費用(宿泊・飲食・交通)が全体の約7割を占めています。つまり、宿泊施設の接客品質がそのまま売上に直結する時代に入っているのです。多言語で対応できるスタッフの確保は、もはやオプションではなく経営上の必須事項といえます。

外国人人材の活用が「現実的な解決策」である理由

人手不足の解消策としては、賃上げ、省力化投資、業務効率化など複数のアプローチが考えられます。しかし、それらだけでは「そもそも人が足りない」という根本問題は解決できません。ここでは、外国人人材の活用が宿泊業にとって特に有効である理由を整理します。

在留外国人400万人時代に突入

出入国在留管理庁の発表(2026年3月27日)によると、2025年末時点で在留外国人数は初めて400万人を超えました。厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ」(令和6年10月末現在)では、外国人労働者数も約230万人と過去最多を記録しています。

宿泊・飲食サービス業に限ると、前年比16.9%増と全産業平均を大きく上回る伸び率を示しており、すでに多くの宿泊施設が外国人人材の採用に動いていることがわかります。

「外国人は安く雇える」は完全な誤解

外国人雇用に対して、いまだに「安い労働力として使える」と誤解している方がいます。しかし、特定技能をはじめとする在留資格では、日本人と同等以上の報酬が法律で義務付けられています。同一労働同一賃金の原則が適用されるため、「安いから雇う」という発想では制度上も成り立ちません。

外国人人材を採用するメリットは、コストの安さではなく「人材プールの拡大」と「多言語対応力の獲得」にあります。日本人だけに限定していては確保できない労働力を、海外まで視野を広げることで安定的に確保できるようになるのです。

制度が大きく整備されてきた

2023年以降、外国人人材の受入れに関する制度は急速に整備が進んでいます。以下の改正は、宿泊業に直接関係するものです。

時期 改正内容 宿泊業への影響
2023年6月 特定技能2号の対象に「宿泊」を追加 在留期間上限なし・家族帯同が可能に。長期戦力化の道が開けた
2025年4月 特定技能の届出頻度を四半期ごと→年1回に簡素化 受入れ企業の事務負担が大幅に軽減
2027年4月(予定) 育成就労制度の施行(技能実習制度を段階的に廃止) 転籍が1年後から可能に。定着施策の重要性がさらに増す

特に2025年4月の届出簡素化は、「手続きが煩雑すぎる」という中小規模の宿泊施設の悩みに直接応える改正です。四半期に一度だった届出が年1回になったことで、事務コストは実質4分の1に削減されました。

在留資格の種類と選び方――宿泊業で使える4つのルート

外国人を雇用するためには、業務内容に合った在留資格を選ぶ必要があります。宿泊業で活用できる主な在留資格は4種類です。それぞれの特徴を理解したうえで、自施設の業務内容やニーズに合った資格を選びましょう。

特定技能1号(宿泊)――最もスタンダードな選択肢

宿泊分野の技能試験とJLPT N4以上の日本語試験に合格した外国人が取得できる在留資格です。在留期間は最長5年で、フロント業務、企画・広報、接客、レストランサービスに加え、清掃などの付随業務にも従事できます。

2025年6月末時点の在留者数は1,265人(出入国在留管理庁)で、2024〜2028年度の受入れ見込み数の上限は23,000人に設定されています。つまり、まだ上限に対して大きな余裕があり、今から採用を始めても十分に枠が確保できる状況です。

特定技能2号(宿泊)――長期戦力化の切り札

2023年6月の閣議決定で宿泊分野が対象に追加されました。2号評価試験の合格に加え、宿泊施設での管理的業務を2年以上経験していることが要件です。在留期間に上限がなく、家族帯同も可能なため、「ずっと日本で働き続けたい」と考える外国人にとって大きな魅力があります。

ただし、2024年3月の試験合格率は4.35%と非常に狭き門です。2025年6月末時点の在留者は17人にとどまっています。だからこそ、自施設で1号のスタッフを育成し、2号取得を支援する体制を整えれば、他の施設との差別化要因になります。

技術・人文知識・国際業務――ホワイトカラー業務向け

大学卒業以上の学歴、または10年以上の実務経験を持つ外国人が取得できます。翻訳・通訳、マーケティング、予約管理システムの運用など、企画・管理系の業務に適しています。在留期間の上限はなく(更新制)、家族帯同も可能です。

ただし、客室清掃やベッドメイキングなどの現場作業には従事できません。あくまで「専門性を活かした業務」が要件です。

特定活動46号――現場作業もできる万能型

日本の大学または大学院を卒業し、かつJLPT N1(最上級)を持つ外国人が対象です。要件は厳しいですが、通訳を兼ねた接客や多言語での案内業務など、現場作業を含む幅広い業務に従事できるのが最大の特徴です。

高い日本語力を持つため、インバウンド対応のキーパーソンとして活躍が期待できます。

在留資格の比較一覧

在留資格 在留期間 業務範囲 家族帯同 日本語要件
特定技能1号 最長5年 フロント・接客・レストラン+付随業務 不可 JLPT N4以上
特定技能2号 上限なし 1号と同等+監督的業務 可能 1号取得時の水準以上
技術・人文知識・国際業務 上限なし(更新制) 企画・管理・翻訳等のみ 可能 業務に応じて
特定活動46号 1年(更新可) 現場作業を含む幅広い業務 条件付き JLPT N1

外国人人材を採用する具体的な手順――9ステップで解説

「制度はわかったが、実際にどう動けばいいのかわからない」という方のために、採用から就労開始までの流れを9つのステップで解説します。初めて外国人を採用する施設でも、この手順に沿えば迷わず進められます。

ステップ1:採用する在留資格を決める

前章で解説した4つの在留資格の中から、自施設の業務内容と求める人材像に合ったものを選びます。現場業務を含めて幅広く任せたい場合は「特定技能1号」が最もスタンダードな選択肢です。

ステップ2:人材を募集する

人材の確保には大きく2つのルートがあります。1つ目は海外からの呼び寄せで、現地の送出機関や人材紹介会社を通じて候補者を見つけます。2つ目は国内にいる外国人の転職で、すでに日本で働いている特定技能人材や留学生が対象です。国内採用のほうが入社までの期間が短く、生活面の適応もスムーズな傾向があります。

ステップ3:宿泊分野特定技能協議会に加入する

特定技能1号の外国人を受け入れる場合、受入れ開始から4ヶ月以内に観光庁が所管する「宿泊分野特定技能協議会」への加入が義務付けられています。加入手続きは観光庁のウェブサイトから行えます。

ステップ4:雇用契約を締結する

日本人と同等以上の報酬条件で雇用契約を結びます。労働時間、休日、社会保険の加入なども日本人従業員と同じ条件が求められます。

ステップ5:支援計画を策定する

特定技能1号の受入れ企業には、外国人への生活支援が義務付けられています。具体的には、事前ガイダンス、住居確保の支援、公的手続きへの同行、日本語学習機会の提供、定期面談の実施などです。自社で対応が難しい場合は、登録支援機関に全部または一部を委託できます。初めて外国人を受け入れる場合は、登録支援機関への委託を強くおすすめします。

ステップ6:事前ガイダンスと健康診断を実施する

雇用契約の締結後、入国前(または在留資格変更前)に、労働条件や生活に関する事前ガイダンスを実施します。ガイダンスは母国語で行う必要があり、通訳の手配も必要です。健康診断も合わせて実施します。

ステップ7:在留資格を申請する

海外から呼び寄せる場合は「在留資格認定証明書交付申請」、国内から変更する場合は「在留資格変更許可申請」を出入国在留管理局に提出します。審査期間は1〜3ヶ月程度が目安です。

ステップ8:入国・就労開始

在留資格が交付されたら、海外からの場合は査証(ビザ)を取得して入国します。入国後は、空港への出迎え、住居への案内、生活オリエンテーションなどを支援計画に基づいて実施します。

ステップ9:定期届出を行う

2025年4月の制度改正により、届出頻度は四半期ごとから年1回に簡素化されました。受入れ状況や支援の実施状況を出入国在留管理庁に報告します。

登録支援機関を賢く活用するポイント

登録支援機関とは、特定技能1号の外国人を受け入れる企業に代わって、生活支援や各種手続きを行う機関のことです。初めて外国人を採用する宿泊施設にとっては、事実上の必須パートナーといえます。ただし、機関によってサービスの質や費用に差があるため、選び方が重要です。

登録支援機関に委託できる業務

  • 事前ガイダンスの実施(母国語対応)
  • 出入国時の空港送迎
  • 住居の確保・契約支援
  • 銀行口座開設・携帯電話契約のサポート
  • 公的手続き(住民登録、社会保険等)への同行
  • 日本語学習機会の提供・案内
  • 相談・苦情への母国語での対応
  • 日本人との交流促進(地域行事への案内など)
  • 定期面談の実施(3ヶ月に1回以上)

選定時にチェックすべきポイント

登録支援機関を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。まず、宿泊業の支援実績があるかどうかです。業界特有の勤務形態(シフト制、早朝・深夜勤務)を理解している機関を選ぶことで、外国人スタッフへのフォローの質が上がります。

次に、対応言語の範囲です。ベトナム語、ミャンマー語、インドネシア語など、採用予定の人材の母国語に対応できるかを確認してください。最後に、費用の内訳と透明性です。月額の管理費用に加え、初期費用や更新時の費用を事前に明示してもらい、複数の機関を比較検討することをおすすめします。

定着率を上げる5つの施策――「採用して終わり」にしない

外国人人材を採用しても、すぐに辞めてしまっては意味がありません。マイナビグローバルの調査によると、正社員として働く外国人の32.6%が「職場で孤立している」と感じていると回答しています。定着率を高めるためには、採用後のフォロー体制が決定的に重要です。

施策1:キャリアパスを「見える化」する

特定技能1号(最長5年)→ 特定技能2号(上限なし)→ 永住申請、という長期的なキャリアルートを入社時に明示しましょう。「この施設で頑張れば、日本に長く住み続けられる」という具体的な将来像を示すことで、モチベーションと定着意欲が大きく変わります。

特定技能2号の取得は現状では合格率4.35%と狭き門ですが、だからこそ施設として試験対策の勉強会を開催したり、管理的業務の経験を積ませる機会を計画的に作ったりすることが差別化につながります。

施策2:住居を確保する

外国人にとって日本での住居探しは、言葉の壁や保証人の問題など、最もハードルが高い課題の一つです。社員寮を提供できれば理想的ですが、難しい場合は住居探しのサポートや、不動産会社への同行を行いましょう。特に地方の宿泊施設では、住居支援が採用の決め手になるケースが少なくありません。

施策3:メンター制度を導入する

すでに自施設で働いている外国人スタッフをメンター(相談役)として新人に付けることで、言語面・文化面でのサポートが格段にスムーズになります。日本人スタッフだけでは気づきにくい悩みや困りごとも、同じ立場の先輩であれば相談しやすくなります。

施策4:コミュニティを形成する

外国人スタッフ同士の交流の場に加え、日本人スタッフとの懇親会や地域行事への参加を積極的に促しましょう。「職場だけの関係」から「地域の一員」へと帰属意識を広げることが、長期定着の鍵になります。地方の宿泊施設では、地域の祭りやイベントへの参加が地元住民との関係構築にもつながり、一石二鳥です。

施策5:日本語学習を支援する

業務に必要な日本語を、勤務時間内に研修として実施することをおすすめします。「自分で勉強してね」ではなく、施設として学習環境を提供する姿勢が、外国人スタッフの信頼感と帰属意識を高めます。オンライン日本語学習サービスの活用も効果的です。

2027年「育成就労制度」に向けて今から準備すべきこと

2027年4月に施行が予定されている育成就労制度は、現行の技能実習制度を段階的に廃止し、新たな外国人材育成の枠組みを作るものです。宿泊業にも直接影響するため、いまのうちから内容を理解し、準備を進めておくことが重要です。

育成就労制度の3つのポイント

第一に、育成就労制度では在留期間が原則3年で、修了後は特定技能1号へスムーズに移行できる設計になっています。つまり、「育成就労3年 → 特定技能1号で5年 → 特定技能2号で無期限」という長期的なキャリアパスが制度として整備されることになります。

第二に、1年経過後に同一分野内での転籍(転職)が認められます。技能実習制度では原則として転籍が認められていなかったため、大きな変更点です。これは外国人の権利保護の観点では前進ですが、受入れ施設にとっては「1年で辞められてしまうリスク」が生まれることを意味します。

第三に、2030年頃までは技能実習制度と育成就労制度が併存する移行期間が設けられています。すでに技能実習で受け入れている施設は、すぐに制度が変わるわけではありません。

今から取り組むべき対策

育成就労制度で転籍が可能になることを考えると、「選ばれる職場」であり続けることが今まで以上に重要になります。具体的には、前章で解説した定着施策(キャリアパスの明確化、住居支援、メンター制度、コミュニティ形成、日本語学習支援)の5つを、制度施行前の段階から実践しておくことが最善の備えです。

また、特定技能ルートでの採用実績を今から積んでおくことも戦略的に有効です。育成就労制度の施行後は、修了者が特定技能1号へ移行するため、特定技能の受入れノウハウを持つ施設が有利になります。

省力化投資×外国人人材の「ハイブリッド戦略」

外国人人材の採用だけで人手不足のすべてを解決できるわけではありません。観光庁・厚生労働省が2025年6月に公表した「省力化投資促進プラン 宿泊業」でも示されているように、テクノロジーを活用した省力化と人材確保を組み合わせる「ハイブリッド戦略」が最も効果的です。

省力化すべき業務と人が担うべき業務を分ける

セルフチェックイン端末、客室清掃ロボット、配膳ロボットなどの導入で、定型的・反復的な業務は機械に任せられるようになってきています。一方で、ゲストとの対面コミュニケーション、トラブル対応、特別なリクエストへの対応などは、引き続き人間のスタッフが担うべき領域です。

外国人スタッフを「人が担うべき業務」に集中配置することで、少ない人数でも高いサービス品質を維持できます。特に多言語対応が求められるフロント業務やコンシェルジュ業務は、外国人スタッフの語学力が最大限に活かせるポジションです。

ICTツールとの組み合わせ

AI翻訳ツールや多言語チャットボットと外国人スタッフを組み合わせる方法も効果的です。AIだけでは対応しきれない複雑な問い合わせや文化的な配慮が必要な場面で、外国人スタッフが「最後の砦」として対応する体制を構築できます。

また、多言語対応のSNSアカウントの運用を外国人スタッフに担当させることで、ネイティブ感覚のリアルタイムな情報発信が可能になります。日本語版だけでなく英語・中国語・韓国語のSNSを活発に運用している施設は、インバウンド集客で大きなアドバンテージを得ています。

地方の宿泊施設が外国人人材を確保するためのコツ

「都市部ならまだしも、地方の旅館に外国人が来てくれるのか」という不安を持つ経営者は少なくありません。確かに、都市部と比べると地方の宿泊施設には不利な条件があります。しかし、地方ならではの強みを活かした採用戦略を取ることで、十分に人材を確保できます。

地方特有の課題と解決策

課題 解決策
外国人が地方を希望しない 住居の無償提供や家賃補助を打ち出す。地方の家賃の安さ・自然環境の良さをアピールする
公共交通が少なく通勤が困難 社用車の貸与、送迎体制の整備、住み込み寮の提供
近くに日本語学校がない オンライン日本語学習サービスの導入、自治体の国際交流協会との連携
地域住民との摩擦が心配 地域の祭りや行事への参加を促進し、「地域の一員」として受け入れる関係を構築する
繁忙期と閑散期の差が大きい 近隣の複数施設で外国人スタッフをシェアリングする(地域連携型の受入れ)

特に「住居の提供」は、地方の宿泊施設が持つ最大のカードです。都市部では難しい社員寮や社宅の用意が、地方では比較的低コストで実現できます。外国人にとって住居の確保は最大の懸念事項であるため、「住居付きの求人」は採用競争力を大きく高めます。

また、複数の宿泊施設が連携して外国人スタッフを共有する「地域連携型」の受入れも注目されています。閑散期に他の施設で働く機会を提供することで、年間を通じた安定雇用が実現でき、外国人にとっても収入が安定するメリットがあります。

外国人雇用で活用できる助成金・支援制度

外国人人材の採用・育成にかかるコストを軽減するために、複数の公的支援制度が用意されています。代表的なものを紹介します。

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

外国人労働者の就労環境の整備(就業規則の多言語化、通訳の配置、社内マニュアルの翻訳など)にかかる費用の一部を助成する制度です。厚生労働省が所管しており、中小企業は経費の2/3(上限72万円)が支給されます。

キャリアアップ助成金

有期雇用の外国人スタッフを正社員に転換した場合に支給される助成金です。1人あたり最大80万円が支給されます(中小企業の場合)。外国人のキャリアアップと定着促進を同時に実現できます。

自治体独自の支援制度

多くの自治体が、外国人材の受入れに関する独自の助成金や支援プログラムを設けています。たとえば、住居費の補助、日本語教室の無料開催、多文化共生のための研修プログラムなどがあります。自施設の所在地の自治体に問い合わせてみることをおすすめします。

よくある質問

  • Q. 外国人スタッフの日本語力はどの程度ですか?
    A. 特定技能1号の場合、JLPT N4以上(基本的な日本語を理解できるレベル)が取得要件です。日常会話や定型的な接客対応は入社時点で可能なケースがほとんどです。ただし、クレーム対応や複雑な説明が必要な場面では、入社後の日本語研修や先輩スタッフのフォローが重要になります。
  • Q. 特定技能1号の外国人はどんな業務に従事できますか?
    A. フロント業務、企画・広報、接客、レストランサービスが主たる業務です。加えて、客室清掃やベッドメイキングなどの付随業務にも従事できます。ただし、付随業務のみに従事させることはできず、あくまで主たる業務と組み合わせる必要があります。
  • Q. 採用から就労開始までどのくらいの期間がかかりますか?
    A. 国内にいる外国人を採用する場合は2〜4ヶ月程度、海外から呼び寄せる場合は4〜6ヶ月程度が目安です。在留資格の審査期間(1〜3ヶ月)が最も時間のかかるプロセスです。繁忙期に合わせて採用したい場合は、逆算して早めに動き始めることが大切です。
  • Q. 登録支援機関への委託費用はどのくらいですか?
    A. 機関や支援内容によって異なりますが、月額2〜4万円程度が一般的な相場です。これに加えて、初期費用(人材紹介手数料や入国時のサポート費用)が別途かかるケースがあります。複数の機関から見積もりを取り、サービス内容と費用のバランスを比較検討してください。
  • Q. 特定技能2号を取得したスタッフは永住申請できますか?
    A. はい、可能です。特定技能2号は在留期間に上限がなく、一定の要件(10年以上の在留実績など)を満たせば永住許可の申請ができます。家族帯同も認められているため、日本で長期的に生活基盤を築くことができます。
  • Q. 育成就労制度が始まったら、特定技能での採用はどうなりますか?
    A. 特定技能制度はそのまま継続します。育成就労制度は技能実習制度の後継であり、育成就労を修了した外国人が特定技能1号に移行する設計になっています。したがって、今から特定技能での受入れ体制を整えておくことは、育成就労制度の開始後にも直接活きてきます。
  • Q. 外国人を解雇することはできますか?
    A. 日本人と同じ労働法が適用されるため、正当な理由のない解雇はできません。逆に言えば、日本人を解雇する場合と同じルール(整理解雇の4要件など)が適用されるだけで、「外国人だから特別に解雇しにくい」ということはありません。

初心者のための用語集

  • 特定技能(とくていぎのう)
    2019年に創設された在留資格の一つ。人手不足が深刻な特定の産業分野(宿泊、外食、介護など現在19分野)で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労できる制度です。1号(最長5年)と2号(上限なし)の2段階があります。
  • 在留資格(ざいりゅうしかく)
    外国人が日本に滞在し、活動するために必要な法的な資格のこと。いわゆる「ビザ」とは厳密には異なりますが、一般的にはほぼ同じ意味で使われます。活動内容によって種類が分かれており、資格の範囲外の活動は原則として認められません。
  • 登録支援機関(とうろくしえんきかん)
    特定技能1号の外国人を受け入れる企業に代わって、生活支援や各種手続きのサポートを行う機関です。出入国在留管理庁に登録された法人・個人が運営しており、企業は支援業務の全部または一部を委託できます。
  • 育成就労制度(いくせいしゅうろうせいど)
    2027年4月に施行予定の新しい外国人材育成制度。現行の技能実習制度を段階的に廃止し、「人材育成」と「人材確保」を目的とする新たな枠組みに移行します。在留期間は原則3年で、修了後は特定技能1号への移行が可能です。
  • JLPT(日本語能力試験)
    日本語を母語としない人を対象とした、日本語能力を測定する試験です。N1(最上級)からN5(初級)までの5段階があり、特定技能1号の取得にはN4以上が必要です。N4は「基本的な日本語を理解することができる」レベルに相当します。
  • 技能実習制度(ぎのうじっしゅうせいど)
    開発途上国の人材に日本の技術を習得させることを目的とした制度。1993年に創設されましたが、実態として人手不足の補填に使われているとの批判があり、2027年4月から育成就労制度に段階的に移行する予定です。
  • 有効求人倍率(ゆうこうきゅうじんばいりつ)
    求職者1人あたりの求人数を示す指標です。1倍を超えると「求人数が求職者数を上回っている(人手不足の状態)」を意味します。宿泊業の接客職では2.53倍(2025年6月時点)と、全産業平均の約2倍の水準です。

参考サイト

免責事項

本記事は、「特定技能/外国人採用/人手不足対策」について一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、法的・税務的・労務的・入管手続き上の助言を行うものではありません。実務対応や最終判断は、必ず弁護士・社労士・行政書士・税理士等の専門家および所轄官庁(出入国在留管理庁、厚生労働省、各自治体)へご確認ください。

  • 掲載内容は公開時点の法令・制度・運用・市況に基づく一般情報であり、将来の法改正・運用変更・ガイドライン更新等により、記載と実態が異なる場合があります。
  • 費用・期間・KPI・効果(例:定着率・採用単価・即戦力化日数等)は一例であり、企業規模・業種・勤務地・募集条件・教育体制・個人属性等により大きく変動します。成果を保証するものではありません。
  • 在留資格の許可・期間・更新可否は、最終的に所轄官庁の審査判断に委ねられます。日本語能力(例:JLPT N3 など)は業務適合性の目安であり、適職性・安全性・生産性を保証するものではありません。
  • 補助金・助成金・支援制度は募集時期や要件が頻繁に変更され、自治体ごとに異なります。申請可否・給付可否は各窓口へ必ずご確認ください。
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    第7条(個人情報の共同利用)

    当社は、特定の者との間で共同利用することを目的として個人情報を当該特定の者に提供することがあります。この場合、当社は、あらかじめ、共同して利用する個人情報の項目、共同して利用する者の範囲、利用する者の利用目的及び当該個人情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名を公表するものとします。

    第8条(本プライバシーポリシーの変更)

    当社は、法令改正への対応の必要性及び事業上の必要性に応じて、本ポリシーを変更する場合があります。本ポリシーの変更を行った場合には、本ウェブサイト上に掲載します。

    第9条(開示、訂正等の手続)

    1.利用者は、本条及び当社の関連規程に従って、当社に対し、個人情報保護法において認められる限度で、以下の求め又は請求を行うことができます。
    1.個人情報の利用目的の通知の求め
    2.個人情報又は第三者提供記録の開示の請求
    3.個人情報の訂正、追加又は削除の請求
    4.個人情報の利用の停止の請求
    5.個人情報の第三者への提供の停止の請求

    2.前項の求め又は請求にあたっては、同項各号のうちいずれの請求か特定の上、本人確認のための書類(運転免許証、健康保険証、住民票の写し等)をご提出頂きます。

    3.第1項第1号の求め又は第2号の請求については、1件につき、1,000円の手数料をご負担頂きますのであらかじめご了承ください。

    第10条(お問い合わせ)

    当社の個人情報の取扱いに関するご相談や苦情等のお問い合わせについては、下記の窓口にご連絡ください。

    個人情報取扱事業者:株式会社JLBC

    代表者名: 見手倉 広貴

    住所:東京都千代田区富士見1丁目3-11 富士見デュープレックスビズ804

    TEL:03-6261-9612

    FAX:03-6261-9613

    Eメールアドレス:info@jlbc.jp

    株式会社JLBC

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